除染ボランティアに参加するに当たって
2012年2月9日
1.はじめに
私たちkfopのスタッフは放射線は危険であると考えています。
以下、私たちの放射線に対する理解について述べます。
2.放射線について
私たちは放射線医学の専門家ではありませんが、私たちの放射線に対する認識は「放射線は危険」です。放射線を出す放射性物質は次のような性質を持ちます。
(1)身体を透過する
(2)DNAに傷をつける
(3)大量に浴びれば死亡する
(4)少量なら将来ガンの可能性がある
なぜ放射線は危険かですが、放射線を大量に浴びると二重らせん構造になっているDNAをことごとく切断するからです。その結果、細胞の再生が間に合わなかったりする場合は死に至ります。少量浴びると晩発性障害として後々に症状がでるものもあります。他方少量の被曝では全く人体に影響がない人もいます。では線量あたりのガン発生率がどのようになっているかを以下に説明します。
(1)国際放射線防護委員会(ICRP)の低線量域放射線リスク推定モデルはしきい値なし(※1)の直線モデルという見解を示しています。しきい値なしの直線モデルは国際的にもこれで合意しています。
(2)ICRPの2007年勧告では、全集団でのガンのリスク係数は0.055/シーベルトとなっています。すなわち、100人・シーベルトあたり、5.5人がガンにかかり死亡ことを意味しています。
(3)ICRP2007年勧告をもとに1000万人の人々が1ミリシーベルトの放射線を浴びるとガン死亡率は以下のようになります。
(0.055/シーベルト)×(0.001シーベルト/人)×(1000万人)=550人
(※1)しきい値なしの直線モデル:しきい値なしの直線モデル:微量の被曝でも身体に何らかの影響があり、リスクは一次関数で増加する、ということを示しています。
3.私たちの被曝量の実績
では、私たちが活動した地域ではどのくらいの被曝があるのでしょうか。
1回目は3マイクロシーベルト(※2)、2回目が2マイクロシーベルトで、累積5マイクロシーベルトになります。仮に1回の作業で3マイクロシーベルトの放射線を1年に12回浴びるとすると、36マイクロシーベルトの不要な被曝をすることになります。
一方、病気発見のために胸部レントゲン撮影をすることがありますが、50マイクロシーベルトの被曝となります。また、東京とニューヨーク間を航空機で往復すると自然被曝で190マイクロシーベルトの放射線を浴びることになります。
(※2)マイクロシーベルトとは:1ミリシーベルトの1000分の1。
4.どのような場所へ行くのか
私たちが活動する場所は福島市社会福祉協議会が募集し参加する場所です。
私たちが活動した場所は普通に市民・人々が暮らしているところです。
5.どのような作業をするのか
福島市では、落ち葉の除去と客土(※3)です。危険を伴う作業はしません(あくまでも昨年活動に参加した時)。
(※3)客土(きゃくど)とは:ある土地になんらかの目的をもって他所から土を搬入すること(ウキペディア)
6.安全管理はどうなっているのか
社会福祉協議会から線量計が貸与されます、逐次チェックすることで自身の被曝量を確認することができます。(あくまでも昨年活動に参加した時)
他にも次のような対応をお願いします。
作業に当たっての注意事項
(1)肌を露出しない(外部被曝の防止)
(2)ゴム手袋をする(外部被曝の防止)
(3)マスクをする(内部被曝の防止)
(4)水に濡れても大丈夫なようにゴム長靴を履く(外部被曝の防止)
(5)作業後は手や長靴を水でよく洗う(外部被曝や内部被曝の防止)
(6)作業後はうがいをする(内部被曝の防止)
作業終了後、福島市役所放射線対策課から累計線量を記入したカードが発行されます(あくまでも昨年活動に参加した時)。
セシウム137はβ崩壊し、β線は紙を透過するもののアルミで遮ることができます。線量計は衣服の上に着用しますので、衣服をまとった人体が浴びる線量は上記より低いと考えられます。
7.よくある質問(Qn:質問、An:回答<保証するものではありません。>)
Q1:除染活動をするのにどのような服装をすればよいのか。
A1:通常の災害ボランティアの服装で十分です。防護服は必要ありません。
Q2:放射線は人との接触で被曝しないか。
A2:放射性物質が付着したものに接触し、放射性物質が手から手へ移動することが考えられますが、低線量のところでの作業ですので、実質はゼロと考えてください。
Q3:内部被曝しないか。
A3:放射性物質が付着したものを触れた後に鼻や口に触れることで内部被曝することは考えられますが、実質はゼロと考えてください。
Q4:大学生だが影響が心配です。若い人への影響はどうなっているのか。
A4:若年層への影響については、国際的な統一見解はありません。どのような影響があるかは研究中で、「よくわからない」が現状です。
別の方法でボランティア活動することをお勧めします。
Q5:遺伝しないのか。
低線量被曝での人体への影響はよく分かっていません。
A5:別の方法でボランティア活動することをお勧めします。
Q6:活動後の衣類は廃棄する必要があるのか。
A6:洗濯することで放射性物質を洗い流すことができます。1回の洗濯で60%~80%落ちるとの報告があります。
Q7:ボランティア保険は有効なのか。
A7:ボランティア活動中に発生した事故を補償する社会福祉協議会のボランティア保険に加入下さい。熱中症、地震・噴火・津波によるケガも補償してくれる天災プランをお勧めします。最も高い補償でも保険料は年間で2,000円以下です。加入時は現地への移動も補償の対象になりますので、現在お住まいの地域で加入してください。詳しくはお近くの社会福祉協議会にご相談下さい。
ただ、晩発性障害に罹っても除染ボランティアが原因による発病なのかを証明できませんので、保険金請求は不可です。
Q8:線量計はあるのか。
A8:社会福祉協議会から積算線量計が貸与されます。作業中逐次チェックすることで線量をチェックすることができます(あくまでも昨年活動に参加した時)。
Q9:活動するにあたりパンフレットはないか
A9:以下がHPで公開されています。
1)福島市が除染マニュアル
「http://shinsai.city.fukushima.fukushima.jp/wp-content/uploads/
2011/09/7ecb6f9a1f5f9a73f57d85c0963afe80.pdf」(URLは2012年1月28日確認済み)
2)福島市ふるさと除染計画
「http://shinsai.city.fukushima.fukushima.jp/wp-content/uploads/
2011/09/49e6e99384de9eb2f577d512e6a9c80a.pdf」(URLは2012年1月28日確認済み)
8.最後に
私たちはかながわから「福島を応援する」その主旨で設立した個人の集まりのボランティアの会です。個人の集まりのボランティアの会ですので、自主性、無償性、他利性に基づく活動を目指しております。私たちは決して除染ボランティアを強要するものではありません。私たちの除染活動に対しては多々ご意見をいただきます。発言者の視点からみれば納得されられるものもあります。しかし、私たちは古来日本人がもつ相身互い精神を大切にし活動することを考えております。賛成できるのであれば、活動への参加をお願いします。
以上